やなせたかしさん

絵本
10 /21 2013
やなせたかしさんの作品にはじめて触れたのは、「やさしいライオン」という映画だった。
「ムクムク」という犬のおかあさんに育てられた、ライオンの「ブルブル」。
ふたりはとても素敵な家族で、目が真っ赤に腫れるほど大泣きしたのを覚えている。


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アンパンマンに出会ったのは、確か「詩とメルヘン」というサンリオさんの雑誌だったと思うのだけれど、そのころのアンパンマンは、スラリと背の高いかっこいい男性で、子どもだけに向けられた作品ではなかった。
おなかがすいて泣いている子のところに飛んできて、「ぼくの顔をおたべ」と顔を差し出す。
顔のない体だけの絵はかなり衝撃的で、よくぞ絵本として出版されたと思うが、やなせさんの哲学があってこそだ。
戦争体験者のやなせさんは、「一番つらいのはおなかがすくこと。そんなときに自分の食べ物を分けてくれる人こそが正義の味方だった。」と記されていた。


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はじめてやなせさんご自身にお会いしたのは、ある出版社のパーティーだった。
壇上に上がったやなせさんは、「少し照明を落として」といい、ありきたりの挨拶ではなく「焼きそばパンマンのうた」をダイナミックに歌われた。
スイッチを入れると、ジャケットがピカピカ点滅しだして、「自分で作ってみたの」とおっしゃった。


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数年後のパーティでは、全員にCDが配られた。
「ノスタル爺さん」
歌の中で、やなせさんは叫ぶ。

人生は 短い
昨日の少年少女も
明日は 爺さん婆さん
またたく間に 過ぎてゆく
それなら 楽しく生きよう
すべての人に やさしくして
やがて煙になって 消えていくのさ コノヤロー!

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アンパンマンの他にも、好きな絵本はたくさんある。
いつまでもやんちゃで、チャーミングで、やさしい哲学者だった。
やなせたかしさん。
たくさんの贈り物を残してくださって、ありがとうございました。

わたなべもも

いつも夢みたいなことばかり考えているから、ふわふわした日常ですが、現実は受け入れるべきと立ち向かってもいるのです。