写真洗浄ボランティア

つぶやき
07 /26 2011
気仙沼から段ボールが数箱、羽田に届く。
津波をかぶったアルバムがぎっしり。
そのほとんどがまだ濡れている。


ハス1

いつもはANAさんの社員食堂だという広い部屋に、敷き詰められたブルーシート。
部屋を汚さないように。テーブルを汚さないように。
薄手のゴム手袋。マスク。カッター。ハサミ。ぞうきん。洗面器。たっぷりの水。大量の洗濯バサミ。
それらを使って3つのグループに分かれ、作業をする。

hasu

第1グループは、アルバムから写真をはがす。
海水を含んで数か月が経つ写真は、バクテリアによる腐食が進み、どろどろになってしまったものも多い。
けれど、人物が写っている真ん中部分はまだ溶けていない。救出できる。
丁寧にアルバムの台紙からはがす。フイルムをはがす。

第2グループは、はがした写真を水で洗う。
すぐに汚れてしまう水を何度も変えながら、丁寧に洗う。
顔部分ができるだけながれてしまわないように。
洗浄によりいったん腐食は止まる。
流れた部分は、ただ白くなってしまう。
ほとんどが白くなってしまう写真もある。
洗ったら、部屋に渡した何本もの紐に、洗濯バサミで干す。
数台の扇風機が乾かすための風を送っている。

第3グループは、乾いた写真をポケットアルバムに入れる。
写真がばらばらに混ざってしまわないように、それぞれ工夫がされている。
ポケットアルバムの表紙には四角い窓が開いており、持主の手がかりになる写真が覗いている。
写真が落ちないように、ホッチキスで止める。
きれいになったアルバムを、また気仙沼へ送る。

ハス3

わたしは、第1グループで、泥をかぶった何冊かのアルバムと向き合った。
「これはひどい」と思うどろどろのアルバムの中に、奇跡的に残っている人物写真と出会う。
「絶対に救わなければ…」
パパに抱っこされた、生まれたばかりの赤ちゃん。
修学旅行のクラスメートと笑っているセーラー服。
写真館で撮った、ぴかぴかランドセルの1年生。
となりで作業していた人は結婚式のアルバムで、
「いま、ケーキ入刀です。」
「いよいよ感動の、両親に花束贈呈です。」
と、気持は招待客のひとりだ。

人物の写真を無事救出できると、なにかその人が助かったような不思議な喜びがあった。
これらの写真は、きっと持主にとって、明日を生きるための「お守り」になってくれると思った。


ハス4



この「ハートプロジェクト」を立ち上げたのは目黒区のいち写真屋さん。
たったひとりの呼びかけに、たくさんのボランティアさんが応え、場所を貸してくださる方が賛同し、ついに今月で気仙沼のアルバムはすべて洗浄を終えるそう。
果てしないと思えたことも、まずは誰かの1歩からだ。
とてもとても素晴らしい。

わたなべもも

いつも夢みたいなことばかり考えているから、ふわふわした日常ですが、現実は受け入れるべきと立ち向かってもいるのです。